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ものづくり補助金 第23次公募がスタート― 賃金要件など最新動向を解説

ものづくり補助金 補助金や中小企業支援制度

2026年2月6日、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)の第23次公募要領が公開された。
本稿では、23次公募のスケジュールや制度変更、直近の採択傾向について整理する。


23次公募の基本スケジュール

中小企業庁から公表された第23次公募のスケジュールは以下のとおりである。

項目 日程
公募要領公開 2026年2月6日(金)
電子申請受付開始 2026年4月3日(金)17:00~
申請締切 2026年5月8日(金)17:00
採択公表 2026年8月上旬頃(予定)

例年どおり、申請はjGrantsを利用した電子申請のみの受付となる。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要であり、未取得の場合は取得に2〜3週間かかるため、早めに準備を進めるべきである。


制度設計の大枠は維持、ただし賃金要件に重要な変更あり

第23次公募の制度設計は、申請枠(「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の2枠構成)、補助上限額(最大4,000万円)、基本の補助率(中小企業1/2、小規模事業者2/3)といった大枠は従来から変更されていない。(下の画像は公募要領概要版から抜粋)

一方、後述する賃金の増加要件(基本要件②)については、3.5%へ変更となった。これは23次公募における最も注意すべき変更点であり、事業計画策定に直接影響するため、申請を検討する事業者は必ず確認すべきである。

第21次公募で導入された「従業員1名以上」の要件や、重複申請に対するペナルティの厳格化なども引き続き適用されている。


賃上げ要件 ― 23次で基準値が変更

ものづくり補助金の申請にあたっては、補助事業終了後3〜5年の事業計画を策定し、以下の基本要件をすべて満たす必要がある。

  • 基本要件①:付加価値額の増加要件 ― 事業者全体の付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率を+3.0%以上増加させること。
  • 基本要件②:賃金の増加要件【23次で変更】 ― 従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率を +3.5%以上 増加させること。目標未達の場合は未達成率に応じた補助金返還義務が発生する。
  • 基本要件③:事業所内最低賃金水準要件 ― 事業所内最低賃金を、毎年、事業実施都道府県の最低賃金より+30円以上の水準とすること。未達の場合は補助金返還の対象となる。
  • 基本要件④:仕事・子育て両立要件(従業員21名以上の場合のみ)― 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」で公表すること。

特に注目すべきは基本要件②の変更である。22次公募までは「1人あたり給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上、または地域別最低賃金の直近5年間の平均成長率以上」という選択制であったが、23次公募では 一律+3.5% へと基準値が引き上げられた。これは従来比で1.5ポイントの上乗せであり、特に人件費負担が大きい事業者にとっては事業計画の見直しが必要となる可能性がある。

なお、基本要件②③については交付申請時までに従業員への表明義務が課されており、未表明の場合は交付決定取消し・補助金返還の対象となる。計画策定時には、実現可能性を慎重に見極めた上で目標値を設定すべきである。
(下の画像は公募要領概要版から抜粋)


申請者数は減少傾向、採択率は30%台前半で推移

近年のものづくり補助金では、申請者数の減少と採択率の低迷という2つの傾向が顕著になっている。公式サイトで公表されている直近の採択実績を確認しておこう。

公募回 申請者数 採択者数 採択率
19次 5,336件 1,698件 31.8%
20次 2,453件 825件 33.6%
21次 1,872件 638件 34.1%

採択率は30%台前半で推移しており、申請した事業者のうち約3社に2社が不採択となっている計算である。

申請者数については、19次の5,336件から21次の1,872件へと約65%も減少しており、急速な縮小傾向が見られる。この背景には、賃上げ要件やDX対応など申請要件の高度化に加え、制度全体の認知がひと段落したことが考えられる。逆に言えば、安易な申請が減り、準備の整った事業者による「質の競争」へと移行している段階ともいえるだろう。


23次公募に向けた準備のポイント

採択率が低水準で推移するなか、23次公募での採択を勝ち取るために押さえておきたいポイントを整理する。

事業計画書の質が採否を分ける

申請者数が減少しているにもかかわらず採択率が上がらないということは、審査基準が厳格化していることを意味する。革新性・優位性・実現可能性を明確に示した事業計画書の作成が不可欠である。

加点項目を戦略的に取得する

ものづくり補助金では最大6つの政策加点を取得できる。パートナーシップ構築宣言の登録や事業継続力強化計画の認定など、比較的取得しやすい加点項目は早めに手続きを進めておくべきである。

スケジュールに余裕を持つ

事業計画書の作成には30〜50時間以上を要するケースも珍しくない。申請締切の5月8日から逆算すると、遅くとも3月上旬には準備に着手する必要がある。

2026年度以降の制度統合も視野に

今後、ものづくり補助金は中小企業新事業進出補助金との統合が予定されている。「新事業進出・ものづくり補助金」として再編される可能性が高く、申請枠や審査基準の変更も想定される。現行制度での申請を検討している事業者は、23次公募のタイミングを逃さないようにしたい。


まとめ

第23次公募は、賃金の増加要件が+2.0%から+3.5%へ引き上げられるという重要な変更が行われた。大枠の制度設計に変更はないものの、採択率30%台前半という厳しい競争環境は続いている。引き上げられた賃上げ要件を含む基本要件を確実にクリアした上で、審査項目に的確に応える事業計画書を作成することが採択への最短ルートである。

申請締切は2026年5月8日(金)。準備は今すぐ始めても早すぎることはない。

参考リンク

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