はじめに

2025年度より新設された「中小企業新事業進出補助金」は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する制度である。事業再構築補助金の後継として位置づけられ、最大9,000万円（賃上げ特例適用時）の補助を受けることが可能である。

現在、第2回公募が実施中であり、申請締切は2025年12月19日（金）18:00である。

第2回公募の申請スケジュール

電子申請のみ受付。GビズIDプライムアカウントの取得が必須である。

補助上限額と補助率

通常枠

補助下限額：750万円

大幅賃上げ特例

特例要件を満たす場合、補助上限額が最大2,000万円引き上げられる（最大9,000万円）。

特例要件（補助事業終了後3～5年間）

• 給与支給総額を年平均6.0％以上増加
• 事業場内最低賃金を年額50円以上引上げ

第2回公募からの主な変更点

1. 賃上げ特例の対象期間変更：「補助事業実施期間内」から「補助事業終了後3～5年間」に変更
2. 申請書類の簡素化：「固定資産台帳」の提出が不要に
3. 米国関税措置への対応：影響を受ける場合、事業計画書への記載が明記された
4. 減点項目の追加：「評価が低くなる事例」が例示として追加

基本要件

以下の要件をすべて満たす事業計画が必要である。

1. 付加価値額：年平均成長率4.0％以上増加
2. 給与支給総額：年平均成長率2.5％以上増加
3. 事業場内最低賃金：毎年、地域別最低賃金＋30円以上

要件未達成の場合、補助金の一部返還を求められる可能性がある。

新事業進出の要件

認められる例

• 製造業者が新たに飲食事業を開始
• 美容室が新たにEC通販事業を開始
• 既存技術を活かして新たな製品分野に参入

認められない例

• 既存事業の単なる拡大（設備増強のみ）
• 既存製品の軽微な改良

補助対象経費

建物費、構築物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費

対象外：研修費、廃業費

注意点

• 事前着手禁止：交付決定前の発注・契約は補助対象外
• 重複申請不可：過去16か月以内に本補助金、事業再構築補助金、ものづくり補助金に採択された事業者は申請不可

まとめ

第2回公募の申請締切は2025年12月19日（金）18:00である。新たな事業分野への進出を検討している中小企業にとって非常に有効な支援制度である。今回間に合わない場合も、第3回公募に向けた準備を進めることをお勧めする。

参考情報

• 新事業進出補助金公式サイト：https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/
• 中小企業庁：https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/index.html

最新情報は公式サイトにて確認いただきたい。