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省力化投資補助金と他の補助金制度との併用戦略 – 最大限の支援を受けるための方法

中小企業省力化投資補助金

はじめに

中小企業が競争力を維持・向上させるためには、効率的な設備投資が不可欠である。
しかし、資金面での制約が大きな障壁となることが多い。
この問題に対応するため、政府は様々な補助金制度を用意している。
中でも「省力化投資補助金」は労働生産性向上を目指す企業にとって有力な選択肢である。
このブログ記事では、この省力化投資補助金を他の補助金・支援制度と効果的に組み合わせる戦略について解説する。
補助金の併用可否を正確に把握し、計画的に活用することで、企業の投資負担を大幅に軽減できる可能性がある。

省力化投資補助金(一般型)の概要

省力化投資補助金は、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を支援するための制度である。
主に以下の特徴を持つ。

  • 補助対象: 人手不足の解消に資する労働生産性の向上に資する設備投資
  • 補助率: 中小企業は1/2以内、小規模企業者等は2/3以内 など
  • 補助上限額: 750万円〜1億円(従業員数によって異なる)
  • 応募要件: 付加価値額年率平均3%以上の向上など

この制度単体でも大きな支援となるが、他の制度と併せて活用することでさらに効果的な投資が可能になる。

併用可能な主要補助金・支援制度

ものづくり補助金との関係

省力化投資補助金とものづくり補助金は目的が重複する部分があるため、同一の設備に対して二重に補助を受けることはできない。
しかし、異なる補助事業に関して、以下の戦略が考えられる。

  • 異なる事業所・工場への投資を分けて申請する
  • 生産ラインの一部を省力化投資補助金で、別の部分をものづくり補助金で整備する
  • 不採択となった場合の次善策として別の補助金への申請も選択肢に進める

IT導入補助金との併用

省力化とIT化は親和性が高い。以下のような併用が考えられる。

  • 省力化投資補助金: 生産設備の更新・増強
  • IT導入補助金: 設備を効率的に運用するためのソフトウェア導入

これにより、ハード・ソフト両面からの生産性向上が期待できる。

新事業進出補助金との組み合わせ

新事業進出補助金は、新事業への進出を支援する制度であり、事業再構築補助金の後継として位置づけられている。

  • 新事業進出補助金: 新規事業立ち上げのための投資
  • 省力化投資補助金: 既存事業の効率化

このように事業の「拡大」と「効率化」を同時に進めることが可能である。
特に新事業進出補助金は、より幅広い事業者が活用しやすい要件設計となっているため、両制度の戦略的な併用価値は高い。

金融支援制度との連携

補助金だけでなく、金融支援制度と組み合わせることも重要である。

  • 日本政策金融公庫の「設備資金貸付」
  • 信用保証協会の「経営力強化保証制度」
  • 自治体の制度融資

これらを活用することで、補助金で賄えない自己負担部分のファイナンスが容易になる。

税制優遇措置との組み合わせ

固定資産税の特例

省力化投資補助金で導入した設備が「先端設備等導入計画」の認定を受けると、その設備に係る固定資産税が最大3年間低減される可能性がある。

中小企業投資促進税制

対象設備を取得した場合、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除を選択できる。

少額減価償却資産の特例

30万円未満の資産は一括償却が可能であり、小規模な設備投資に有効である。

併用戦略を成功させるための実務的ポイント

申請スケジュールの調整

各補助金の公募時期は異なるため、計画的な申請スケジュールの策定が不可欠である。

  • 年間の公募スケジュールを把握する
  • 申請準備期間を十分に確保する
  • 資金計画と設備導入時期を連動させる

事業計画の一貫性確保

複数の補助金を申請する場合、事業計画の一貫性を保つことが重要である。

  • 全体の投資計画を明確にする
  • 各補助金の目的に合わせて投資内容を適切に区分する
  • 社内の中期経営計画など、上位の計画との整合性を確保する

専門家の活用

複数の制度を正確に理解し、最適な組み合わせを検討するには専門知識が必要である。

  • 中小企業診断士等の専門家によるアドバイス
  • 地域の産業支援機関(よろず支援拠点等)の活用
  • 金融機関や税理士との連携

併用戦略の具体例

製造業A社の事例モデル

包装工程の省力化と新商品開発を同時に進めるため、以下のような補助金活用が考えられる。

  • 省力化投資補助金: 包装ライン自動化設備(800万円)
  • IT導入補助金: 生産管理システム(150万円)
  • 新事業進出補助金: 新商品製造ライン(1,500万円)
  • 固定資産税特例: 3年間で約90万円の節税効果

このモデルケースでは、総投資額2,500万円に対し、実質負担は約1,000万円に抑えることが可能となる。

サービス業B社の事例モデル

人手不足対策と新サービス展開のため、以下の戦略が考えられる。

  • 省力化投資補助金: セルフオーダーシステム(500万円)
  • 小規模事業者持続化補助金: 新サービスの販促活動(100万円)
  • 創業支援融資: 自己負担分のファイナンス(金利優遇)

このようなモデルでは、顧客満足度を維持しながら従業員の負担軽減を実現できる可能性がある。

申請時の注意点

補助金の重複申請に関する制限

同一の設備・経費に対して複数の補助金を受けることはできない。
申請書には他の補助金との関係を明記する必要がある。

会計処理の明確化

複数の補助金を活用する場合、経理処理を明確に区分することが重要である。

  • 設備ごとの帳簿管理
  • 補助金ごとの証憑書類の整理
  • 実績報告時の計上漏れ防止

補助金交付後のフォローアップ

補助金受給後も継続的な報告義務がある場合が多い。

  • 事業化状況報告
  • 財産処分制限の理解
  • 成果指標の達成状況管理

今後の補助金活用戦略

DX関連補助金との連携

今後はデジタル化を前提とした省力化が主流となる。DX補助金との連携を視野に入れた戦略が重要である。

環境・脱炭素関連補助金との組み合わせ

省エネ設備の導入は省力化と環境対応を同時に実現できる。両方の補助金を活用する視点が必要である。

人材育成支援との連動

設備投資と人材育成を同時に進めることで、真の生産性向上が実現できる。人材開発支援助成金等との連携も検討すべきである。

まとめ

省力化投資補助金を他の支援制度と効果的に組み合わせることで、企業の投資負担を大幅に軽減しながら競争力強化を図ることができる。
ただし、各制度の特性と制限を正確に理解し、戦略的に活用することが成功の鍵である。
専門家のサポートを得ながら、自社に最適な補助金活用戦略を立案・実行することを推奨する。

生産性向上は一朝一夕に実現するものではない。
長期的な視点で設備投資計画を立て、利用可能な支援制度を最大限に活用していくことが、持続的な企業成長への道となる。

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