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【2026年度予想・後編】デジタル化・AI導入補助金|補助対象経費の変更と採択率対策

補助金や中小企業支援制度

はじめに

前編では、IT導入補助金から「デジタル化・AI導入補助金」への名称変更の背景と申請枠の変更予測について解説した。

本記事(後編)では、補助対象経費の拡充予想、採択率の動向と対策、2026年度に向けた準備のポイントについて解説する。


補助対象経費の変更予想

現行(2025年度)の補助対象経費

  • ソフトウェア購入費
  • クラウド利用料(最大2年分)
  • 導入関連費(保守サポート、マニュアル作成、活用支援)

2026年度の予想される追加項目

1. AIツール導入に係る研修費

AI活用には従業員の習熟が必要となる。AIツールの操作研修や活用研修にかかる費用が補助対象に追加される可能性がある。

2. データ整備・連携費用

AI活用の前提として、社内データの整備や異なるシステム間のデータ連携が必要となる。これらの費用が対象化される可能性がある。

3. コンサルティング費用の拡充

DX推進やAI導入に係る専門家のコンサルティング費用について、対象範囲が拡大される可能性がある。


AI関連ITベンダーの登録拡大

2026年度はAIツールを提供するIT導入支援事業者(ベンダー)の登録が増加すると予想される。

登録拡大が見込まれる分野

  • 生成AI(ChatGPT、Claude等)を活用した業務支援ツール
  • AI-OCR(文字認識)サービス
  • AI需要予測・在庫管理システム
  • AIチャットボット・カスタマーサポートツール
  • AI画像認識・検品システム

AI活用を検討している事業者にとって、選択肢が広がる環境になると予想される。


採択率の動向と対策

2025年度の採択率推移

2025年度は審査基準が厳格化され、採択率が低下傾向にある。

公募回 通常枠採択率
2024年度 約70%台
2025年度第1次 約50.7%
2025年度第2次 約41.1%
2025年度第3次 約30.4%

2026年度の予想

審査の厳格化は2026年度も継続すると予想される。採択されるためには、導入目的と期待される効果を具体的に示す事業計画が重要となる。

採択率を高めるポイント

1. 導入目的の明確化

「どのような業務課題を、どのようなITツール・AIツールで解決するのか」を明確にする。審査では導入目的の明確さが重要な評価ポイントとなる。

2. 定量的な成果目標の設定

導入後の成果目標を定量的に設定する。例えば「業務時間を30%削減」「売上を10%向上」など具体的な数値を示すことが重要である。

3. 加点項目の獲得

以下の加点項目を可能な限り取得することで、採択率を高めることができる。

  • 賃上げ目標の設定
  • 地域未来牽引企業への認定
  • 健康経営優良法人への認定
  • 女性の活躍推進企業への認定
  • 成長加速マッチングサービスの登録

4. IT導入支援事業者との連携

経験豊富なIT導入支援事業者と連携することで、申請書の精度や加点項目の活用が可能になる。


2026年度に向けた準備

1. GビズIDプライムの取得

電子申請に必須のGビズIDプライムアカウントを取得しておく。取得には2~3週間を要するため、早めの準備が重要である。

2. SECURITY ACTION宣言の実施

IPA(情報処理推進機構)のサイトで「SECURITY ACTION」の宣言を行う。これは申請の必須要件である。

3. 業務課題の整理

自社の業務における課題を整理し、どのようなITツールやAIツールが効果的かを検討しておく。以下のような観点で整理することが有効である。

  • 請求処理の手間
  • 顧客管理の属人化
  • 情報共有の遅れ
  • データ入力の負担
  • 在庫管理の非効率

4. IT導入支援事業者との早期連携

2026年の公募開始前から、信頼できるIT導入支援事業者と連携を始めることで、スムーズな申請が可能となる。

5. 賃上げ計画の検討

賃上げに取り組む事業者への優遇措置が拡大傾向にある。自社の賃上げ計画を検討し、要件を満たせるよう準備を進めることが採択率向上につながる。


他の補助金との併用について

デジタル化・AI導入補助金は、ものづくり補助金や省力化補助金などと同一経費での併用は不可である。

例えば、同じソフトウェア購入費を複数の補助金に申請することはできない。それぞれの制度目的(生産性向上、設備投資、賃上げなど)を明確に区別し、自社に最も合う制度を選ぶことが重要である。


注意事項

本記事の内容は、2025年度までの実績と令和8年度概算要求をもとにした予想である。実際の制度内容は、当初予算や補正予算の成立を経て決定されるため、変更される可能性がある。

正式な公募要領が発表され次第、最新情報を確認いただきたい。


まとめ

2026年度から「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更される見通しである。AI活用支援の強化、補助対象経費の拡充などが予想されるが、審査の厳格化も継続すると見込まれる。

採択率を高めるためには、導入目的の明確化、加点項目の獲得、IT導入支援事業者との連携が重要である。年明けから準備を進めることをお勧めする。


参考情報

本記事は2025年12月時点の情報および予想に基づく。正式な公募要領は公式サイトにて確認いただきたい。

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