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令和7年度補正予算案が閣議決定!中小企業向け支援策の全体像を解説

補助金や中小企業支援制度

2025年11月28日、政府は令和7年度補正予算案を閣議決定した。中小企業・小規模事業者等関連予算は総額8,364億円、既存基金の活用を含めると1兆円を超える規模となっており、近年でも最大級の支援策が盛り込まれている。本稿では、中小企業経営者が押さえておくべき支援策の全体像を解説する。


経済対策の3本柱と中小企業支援の位置づけ

令和7年11月21日に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」は、以下の3本柱で構成されている。

  1. 生活の安全保障・物価高への対応
  2. 危機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現
  3. 防衛力と外交力の強化

中小企業・小規模事業者への支援策は、主に第1の柱である「物価高から暮らしと職場を守る施策」の中に位置づけられており、賃上げが物価上昇を上回る状況を実現するための環境整備として重要な役割を担っている。


令和7年度補正予算案における6つの支援分野

中小企業庁が公表した資料によると、今回の補正予算案は以下の6分野に分類されている。

1. 成長投資支援

施策名 予算規模
中小企業成長加速化補助金の拡充 3,400億円の内数
大規模成長投資支援 4,121億円(新規2,000億円、既存2,121億円)

売上高100億円を超える「100億企業」創出に向けて、飛躍的な成長を志向する企業への財政支援を実施する。特に注目すべきは、新規公募分として基金2,000億円が措置され、そのうち1,000億円程度が「100億宣言企業」向けに確保されている点である。

2. 生産性向上・省力化投資支援

施策名 予算規模
生産性革命推進事業(デジタル化・AI導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金) 3,400億円の内数
革新的製品等開発や新事業進出支援 既存基金活用(1,200億円規模)
省力化投資支援 既存基金活用(1,800億円規模)

従来のIT導入補助金やものづくり補助金に代わり、「デジタル化・AI導入補助金」という新たな名称が登場している点が注目される。生産性向上に向けたデジタル化や販路開拓、事業承継・M&Aに係る設備投資等を後押しするとともに、物価高や米国関税影響を踏まえたソフト支援も実施される。

3. 伴走支援

施策名 予算規模
プッシュ型による伴走支援の体制強化等 376億円の内数

商工会・商工会議所、認定支援機関、よろず支援拠点(生産性向上支援センター含む)、事業承継・引継ぎ支援センター等の体制強化が図られる。支援機関連携を通じた自治体による伴走支援モデルの創出も進められる。

4. 取引適正化

施策名 予算規模
官公需も含めた価格転嫁・取引適正化の更なる徹底 7.6億円

2026年1月施行の中小受託取引適正化法・受託中小企業振興法の周知徹底と厳正な執行が行われる。下請Gメンによる取引実態調査、価格交渉促進月間フォローアップ調査等による発注者への指導等も徹底される。

5. 資金繰り支援

施策名 予算規模
信用保証制度におけるメニュー新設等 152億円
日本政策金融公庫等による資金繰り支援事業 40億円

経営改善や事業再生に取り組む中小企業への信用保証、米国関税措置の影響を受けた事業者等への資金繰り支援が実施される。

6. 災害支援

施策名 予算規模
なりわい再建支援事業等による被災地域の復興支援 268億円
局激指定災害への支援拡充等 53億円の内数

令和6年能登半島地震等の被災中小企業等が行う施設・設備の復旧・復興を支援する。


今後のスケジュールと準備のポイント

現時点で公表されているのはあくまで「予算案」であり、国会での審議・成立を経て正式に決定される。各補助金の公募要領、申請スケジュール、採択方針などは今後の公表を待つ必要がある。

今から準備すべきこと

  1. GビズIDプライムアカウントの取得
    • 多くの補助金申請に必須となるため、未取得の場合は早急に手続きを進める
  2. 自社の経営課題の整理
    • どの支援策が自社に適しているか、経営課題と照らし合わせて検討する
  3. 事業計画の骨子作成
    • 採択を目指す補助金に合わせた事業計画の準備を開始する
  4. 認定支援機関への相談
    • 補助金申請に詳しい専門家との連携を検討する

まとめ

令和7年度補正予算案は、中小企業にとって成長投資、生産性向上、資金繰りなど多角的な支援が用意された充実した内容となっている。特に「100億企業」創出に向けた成長加速化補助金の拡充や、デジタル化・AI導入支援の強化は、これからの経営戦略を考える上で重要な選択肢となるであろう。

公募開始に向けて、今から情報収集と準備を進めておくことが、補助金採択への近道となる。次回以降の記事では、個別の補助金制度について詳しく解説していく。


参考情報

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