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ものづくり補助金の「革新性」とは?

ものづくり補助金

ものづくり補助金でよく質問を受ける「革新性とは何か」ということをご紹介する。

革新性を意識しすぎるとよくない

ものづくり補助金に関して当社は数十件ご支援させていただいたことがあるが、企業様から次の質問を非常によく受ける。
「(設備を更新することが主体の)今回の取り組みは『普通』の取り組みです。ものづくり補助金には『革新性』が求められるので採択されませんかね、、」
という質問である。

こういう考えをしてしまうと次のような悪い結果になることが多いと感じる。

悪い結果1.革新性を追い求めるあまり補助金の申請書がなかなか書けない(筆が進まない)。
悪い結果2.革新性を表現することを求めるあまり、自社の強みや資源から乖離したよく分からない計画ができる。

とくに2のよく分からない、また実現可能性の低い計画ができてしまうことはよくある。このような事業計画を作ってしまい、採択されない、もしくは採択されても当該事業がうまくすすまないことになってしまう企業すら散見される。

こういったことが起こる原因はものづくり補助金の『革新性』の意味を理解しておらず、
なんとなく「世の中であまり起きていない革命性(イノベーション)を持った計画でないといけない」と認識されて進められている企業が多いからだと感じる。よってここではあ当社における『革新性』の考え方をご紹介する。

公募要領での『革新性』の定義

公募要領では「革新性」の定義は書かれていない。そのことがこういった混乱を生む原因となっている気がするのだが、、。
革新性についてとくに重要な文面はあるとすれば下記の公募要領の表紙であろう。

《下記画像は公募要領より》
ものづくり補助金の革新性の定義
上記のように、「革新的な」という文言はあり、公募要領のなかでも多少その「革新性」について触れられてはいるが定義はない。
このように公募要領において明確な定義がないことから、そもそも「革新性」についてはある程度自社で解釈するしかないと認識している。

当社における「革新性」の解釈

上記のように明確な定義はないので当社では次のように定義をしている。

まず、辞書(デジタル大辞林)においては次のようにある。

かくしん【革新】=「旧来の制度・組織・方法・習慣などを改めて新しくすること。」

ここで重要なのがものづくり補助金については、その主語によって2通りの解釈ができる。
①導入設備で、世の中に出回っている旧来のものと比較して改めて新しいサービスや生産プロセスを達成する。(簡単に言うとiPhoneの発明みたいなイノベイティブなイメージ)
②導入設備で、自社で旧来実施していたものと比較して改めて新しいサービスや生産プロセスを達成する。

つまり簡単に言うと、世の中にとってOR自社にとって改めて新しいかという解釈ができる。
当社では②の解釈のもと支援を行っている。
革新性の解釈により良く分からない計画になってしまっている企業は①の解釈で進めてしまっていることが多いと感じる。
実際に①の解釈で策定されたものづくり補助金の事業計画を見せてもらうと「それ成功しなくないですか?」とか「そもそもそんなこと御社にできるのですか?」「御社の強みや資源からは飛躍していませんか?」といった類のものになってしまっていることがほとんどだ。その結果、やはり採択されない、、。もしくは幸いに採択されてその事業を実施したとしても上手くいかない企業が多い。

また、そういった②の解釈で実施すれば上手くいくものを、補助金を獲得したいあまり無理やり①の解釈に当てはめているところも多い。

②の解釈で事業がうまくいきそうであれば正直に②の解釈で進めれば良いと思う。

また、①の世の中を変えるようなものでなく、②の自社内の新しい生産プロセスを達成する取り組みのほうが成功確率や期待値は大きいと思う。

いちおう付け加えておくと②の解釈で当社が支援した企業のほとんどがものづくり補助金に採択されている。

今までの歴史

また、ものづくり補助金の革新性の重要性や定義も時代背景によって変わってきていると感じる。
たとえばものづくり補助金の正式名称を見るとそのニュアンスを感じることができる。
正式名称を時系列を追ってみてみると
「平成24年度補正ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」
「平成25年度補正中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」
「平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金」
「平成27年度補正ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」
「平成28年度補正革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」
「平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」
「平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」
となっている。
25、26、28年の名称には革新の文字が入っているが近年はそれが入っていない。
確かに25,26年などのあまり景気が良くないときは「中小企業も世の中に無いような革新的なこと(先述の①)をしていくべきだ」みたいな考え方も多かったかと思う。
しかし、30年度補正の「生産性向上」に見られるように、昨今は世の中に無いものをする以前に、「人手不足等を改善するために生産プロセスなどを改善し、一人当たりの労働生産性をあげよう」という考え方が主流であろう。

そういうこともあり、当社も昨今のものづくり補助金の「革新性」は先述の②の解釈で行っている。繰り返しになるがその解釈で凡そ採択されている。

まとめ

ものづくり補助金の「革新性」については
「導入設備で、自社で旧来実施していたものと比較して改めて新しいサービスや生産プロセスを達成する。」
という解釈で進めていけば、良い事業計画になり採択率もあがるというのが当社の実績からの判断である。

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