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令和2年(2020年)のものづくり補助金の内容に変更あるのか?

ものづくり補助金 補助金や中小企業支援制度

10月23日の財政制度等審議会で、「ものづくり補助金」について見直しを求める考えが示された。

〈「中小企業支援を厳格化意向 財務省、補助金見直し」朝日新聞2019.10.24記事を一部抜粋〉

財務省は23日の財政制度等審議会で、中小企業の支援に使われる「ものづくり補助金」について、補助の基準や成果の評価を厳密にするよう見直しを求める考えを示した。生産性を上げる意欲が高い企業に支援を絞っていくべきだとした。

 朝日新聞デジタル 
中小企業支援を厳格化意向 財務省、補助金見直し:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S14229242.html
 財務省は23日の財政制度等審議会で、中小企業の支援に使われる「ものづくり補助金」について、補助の基準や成果の評価を厳密にするよう見直しを求める考えを示した。生産性を上げる意欲が高い企業に支援を絞って…

今回のブログではその「ものづくり補助金」について見直しを求める考えと、
それが令和2年(2020年)のものづくり補助金についてどのように反映されるかを予想してみる。

「ものづくり補助金」について見直しを求める考え

以下、10月23日の財政制度等審議会を一部抜粋して見直しを求める考え方(中⼩企業予算の⽅向性、最近の主な中⼩企業⽀援策、中⼩企業向け補助⾦、ものづくり補助⾦について)をご紹介し、当社の見解も述べていく。

中⼩企業予算の⽅向性

「経営者の⾼齢化と⼈⼿不⾜という⼤きな構造変化に対応するため、設備投資やIT投資などの成⻑投資を通じた⽣産性向上に意欲的な中⼩企業への⽀援、に予算を重点化すべきではないか。」と提言している。

経営コンサルタントを行っている当社の現場感覚としては、概ね「設備投資やIT投資などの成⻑投資」に関する国からの援助は、成長意欲のある中小企業には求められていると感じる。
そういった中小企業は「設備投資をすれば利益が上がったり生産性があがるのに、、」といった考えを持っているが高額な設備投資にはなかなか踏み切れないでいる。
そういった姿勢に対して背中を押して上げる、という意味では設備投資に等に予算をさらに重点化する方向性は良いと思われる。

最近の主な中⼩企業⽀援策

「最近の中⼩企業⽀援策は、多様な中⼩企業が様々なライフステージにおいて直⾯する課題に対応する」としてライフステージごとの施策マップが示されている。

個人的に思うのが現状のものづくり補助金は、創業者や創業して日が浅い企業にはハードルが高い(申込めるかどうかの要件も曖昧)。
そういった方もものづくり補助金に申し込みたいという要望が当社にも増えているが、当社としても要件が曖昧なので支援はお断りすることが多い。
なので、そういった創業者等にも申し込みやすい要領や制度に修正すると良いと思う。

中⼩企業向け補助⾦

「現在の補助⾦の中には、⽣産性向上との関係が不明確な成果⽬標(KPI)や、客観的な政策効果を測定できない成果⽬標が設定されているものが存在。」と指摘。

ものづくり補助金に関しての成果目標(KPI)は、「事業終了後、5年以内に事業化※を達成した事業が半数を超えること」とされている。
現状のものづくり補助金の状況から、このKPIだと生産性向上との関係が不明瞭であったりと判断されているのだろう。
個人的にもこのKPIはかなり曖昧だと思うし、そもそも5年経って製品が一つ以上販売されない事業に補助金を出すのは如何なものかと思う、、。(販売されないかもしれないが、世の中を変えるようなイノベーションを起こす可能性のある事業に関してはほかの予算で行えば良いと思う)
※事業化の定義:「開発された製品が一つ以上販売されていること」

ものづくり補助⾦について

ものづくり補助金の現状について、
『ものづくり補助⾦の実績をみると、「5年以内に事業化を達成した事業が半数を超える」というKPIは達成されている』
とされている。

次に課題について、
・ そもそも事業化の定義は、「開発された製品が⼀つ以上販売されていること」であり、こうしたKPIは妥当とは⾔えないのではないか。
・ また、採択された事業者の⼤半が、野⼼的な経営⾰新計画(※)の策定等により、通常(1/2)よりも⾼い補助率(2/3)が適⽤されていることを踏まえても、こうしたKPIは妥当とは⾔えないのではないか。
とされている。

最後にその解決策について
『ものづくり補助⾦をはじめとする中⼩企業向け補助⾦は、働き⽅改⾰など中⼩企業を巡る環境の変化を踏まえつつ、設備投資やIT投資などの成⻑投資を通じた⽣産性向上に意欲的な中⼩企業への⽀援に重点化するとともに、適切なKPIの設定やフォローアップの着実な実施が必要ではないか。』
とされている。

令和2年(2020年)のものづくり補助金についてどのように反映されるか

要は今回の提言では、下記の2点の課題解決を求めていると思われる。

①設備投資やIT投資などの成⻑投資を通じた⽣産性向上に意欲的な中⼩企業への⽀援に重点化する
②適切なKPIの設定やフォローアップの着実な実施が必要

それについてどのように反映されるか、つまり来年の補助金がどうなるか、という点が重要であるが
希望も含めて反映されるとすれば下記のように反映されると思う。

【反映される方向予想その1】
趣旨を「革新的」から「生産性向上」に移行、明確化する。

現場でものづくり補助金や設備投資の支援をしていて、今回指摘があったような問題の発生源として、
現状のものづくり補助金は「革新的な事業」ということに重点が置かれすぎていることにあると感じる。

この「革新的」という定義がかなり不明確であり、有識者も含めて誰に聞いてもそれぞれ違った考えで運営されていることにあると思う。そもそも不明確なものにKPIを持たせづらい!というのが問題の根源だと思う。
であるので、この「革新的」という文言をはずし、明確に「生産性向上」を目的とする、とした方が制度としてわかりやすいし、
実現可能性が高くなり、KPIが設定しやすくなり、そもそもの国の趣旨とも整合性が合うと感じる。

【反映される方向予想その2】
KPIを実施事業によって分類する。

課題とされている低すぎる?KPIの「開発された製品が⼀つ以上販売されていること」は、
おそらく試作開発型の事業のKPIとして設定されたものである。

ものづくり補助金はざっくり分けて「設備投資による生産性向上」「新製品開発などの試作開発」を行う事業者の2つに分けられる。

今のKPIだと、前者のKPIも後者と同様に設定されてるので運営上、無理がある。
なので単純にKPIをたとえば、下記のように2つに分類すれば良いと思う。

設備投資による生産性向上のKPIは、「現状より労働生産性が向上する」
新製品開発などの試作開発のKPIは、(現行通り)「開発された製品が⼀つ以上販売されていること」

まとめ

今回の提言で意外と重要なのが、「ものづくり補助金」の制度自体は否定されていないこと。

よって、他の情報なども考慮すると、2020年も補正予算のものづくり補助金は概ね公募される予定と考えていよい。

ただ、今回の提言等を受けて内容に変更があるかもしれないので、公募が始まって慌てないように、常に情報収集をしておくことが重要である。

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