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ものづくり補助金で採択されるポイント3−申請書「事業の具体的な内容」の書き方その1

ものづくり補助金

以前の記事で、ものづくり補助金の採択率をあげるポイントや


自社の事業計画を整理しやすい考え方をご紹介した。

今回はさらに具体的に、申請書の本文の前半である「(4)事業の具体的な内容〈その1:革新的な試作品開発・生産プロセスの改善の具体的な取組内容〉」の書き方をご紹介する。

書いていく際の流れ

まず、書いていく前に事業全体の流れを頭の中で整理しよう。
申請書に下記のようなイメージで整理した内容を落とし込むと、分かりやすい整理された採択率の高い申請になるはずである。

上図のように、申請書の〈その1:革新的な試作品開発・生産プロセスの改善の具体的な取組内容〉では、御社の「現状→課題→課題解決策」の3つを記載すると良い。
ただし、この3つの大きなタイトルだけだとまだ整理し文章にしにくいので、さらに中タイトルに分けていくとスムーズである。

中タイトルを付ける前に審査項目等から逆算して考える

中タイトルの付け方であるが、「審査項目」と「申請書に求められている留意点」から逆算していくことが重要だと考えている。
両方ともに、公募要領に記載されているので、それぞれについて下記で見ていく。

審査項目

まず、審査項目の「技術化面」は下記のようになっている。技術化面と本記事の申請書前半部分が必ずしもマッチングしているわけではないが、おおよそそれに対応しているのでこの技術化面を意識して中タイトルに分け、記載していくと良い。

【以下、公募要領(H30年1次)「審査項目(技術化面)」より抜粋】

1 新製品・新技術・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。
○ 【革新的サービス】においては、中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドラインで示された方法で行うサービスの創出であるか。また3~5年計画で「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成する取組みであるか。
○ 【ものづくり技術】においては、特定ものづくり技術分野の高度化に資する取組みであるか。また3~5年計画で「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成する取組みであるか。
2 サービス・試作品等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
3 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
4 補助事業実施のための体制及び技術的能力が備わっているか。

申請書に求められている留意点

次に申請書に求められている留意点であるが、公募要領の「8.応募申請書類の記入・提出にかかる留意点」を意識して申請書に反映させよう。

意外と見逃してしまうのだが、この留意点はしっかり押さえてくださいね、ということが申請書自体にも記載されている(下記赤線箇所)。

この押さえるべき留意点は下記のようになっている。
【以下、公募要領(H30年1次)「8.応募申請書類の記入・提出にかかる留意点」より抜粋(d以降は省略)】

a.本事業の目的・手段について、今までの自社での取組みの経緯・内容をはじめ、今回の補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性を示してください。また、課題を解決するため、不可欠な工程ごとの開発内容、材料や機械装置等を明確にしながら、具体的な目標及びその具体的な達成手段を記載してください(必要に応じて図表や写真等を用い具体的 かつ詳細に記載してください)。
事業期間内における機械装置等の取得時期や技術の導入時期についての詳細なスケジュールの記入が必要となります。
b.応募申請する対象類型に応じて、事業計画との関連性を説明してください。
c.本事業を行うことによって、どのように他者と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に説明してください。

当社のおすすめの中タイトルの分け方

上記の「審査項目」と「申請書に求められている留意点」を反映させると、下記のような中タイトルに分けて申請書を書き進めていくのが良い。
当社ではどのような業界の企業の支援であれ、ほぼ下記の中タイトルで申請書をまとめるようにしており、採択率も9割以上である。

  • 会社概要
  • 経営課題
  • 課題解決策
  • スケジュール
  • 実施体制
  • 対象類型の分野との関連性

では、次にそれぞれの中タイトルをより細かく紹介していく。

会社概要

沿革や事業内容、売上構成などを記入する。
とくに売上構成では誰に、何を、どのくらい販売しているかというのを表にまとめると良い。
申請書の流れとしてはその売上構成表のどの部分を今回導入の設備で伸ばしていくか、という流れにするのがオーソドックスだと思う。

経営課題

外部環境と内部環境を簡単に整理した上で経営課題を記入する。
外部環境は、自社の置かれている業界市場動向、顧客のニーズ等。
これらは言うまでもないが客観的なデータが有るとより説得力がある。
内部環境は自社の強みと弱みを記入する。

以上の外部環境と外部環境を整理すると、下記の例のように経営課題が説明しやすい。
《例(製造業)》
当社の主力のA部品部門は市場全体が順調に伸びている。しかし当社の現状設備だと取引先から要望のある生産力が確保できない。よって生産力増強が課題である。
《例(サービス業)》
当社のBサービスは人口減少などから近隣事業者との競争が激しくなっている。サービス力を強化し、顧客満足度を高めていく必要がある。しかし当社現状は機械化があまり進んでいないため効率が悪く、顧客サービスに注力できない状況であり課題である。

課題解決策

先述の「経営課題」であげた課題が導入設備で解決できる、という流れになるだろう。

ここで重要なのは設備の機能やスペックの詳細ばかりをズラズラと書かないこと。
機能の詳細が大事なのではなく「導入設備(機能)によって課題がなぜ解決でき、その結果どうなるのか」ということを記入しよう。機能の詳細は添付するカタログを見れば審査員は理解できる。

課題解決とその結果の書き方としては、項目に分けて現状と設備導入後のビフォーアフターのような表にまとめると良い。
項目は、生産量、品質、費用、顧客満足度、作業効率などが分かりやすい。

《例(製造業)》
今回の設備のX、Yの機能により生産力増強が可能となる。具体的には生産量は△→◯に増加、時間当りの費用も□%改善される。
《例(サービス業)》
今回の設備のZ、Wの機能により生産性と顧客満足度の向上できる。具体的には現状人手で行い手間のかかっている▲と■の工程を、設備で代替できるので省略できる。このことにより作業効率がアップし、顧客サービスに注力できる環境が整う。

スケジュール

例えば下記のように取組内容、実施者、時期などに分けて表にすると良い。

実施体制

下記のようなイメージで担当者やそれぞれの役割を整理する。

対象類型の分野との関連性

別記事で追って紹介する。

まとめ

ものづくり補助金の申請書作成の際はまず中タイトルに分けた上で、それぞれの具体的事項におとしこんでいくと効率的で効果的である。

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