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【前編】ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合!「新事業進出・ものづくり補助金」の背景と新制度の全貌

はじめに

中小企業の設備投資・事業拡大を長年にわたって支えてきた「ものづくり補助金」と、2025年度から新たにスタートした「新事業進出補助金」。この2つの補助金が、2026年度以降に統合され、**「新事業進出・ものづくり補助金(仮)」**として生まれ変わることが中小企業庁より発表された。

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r8/shinjigy_mono.pdf

前編となる本記事では、統合の背景・国の意図・新制度の概要と申請枠について、経営コンサルタントの視点から解説する。今後の補助金活用を検討している経営者・担当者はぜひ参考にしていただきたい。


1. なぜ統合されるのか?——背景と国の意図

既存制度の方向性と変化の兆し

ものづくり補助金は、新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善など、主に「生産性向上」を目的とした設備投資を支援してきた代表的な補助金である。一方、新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継として2025年度より始まった新しい制度で、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を目的とした設備投資を支援するものであった。

今回の統合の背景には、「既存事業の延長線上にある設備更新を前提とした生産性向上の取り組みだけでは、海外展開による日本経済の成長には不十分」という国の問題意識があるのではないかと推察される。つまり、日本経済をより力強く成長させるためには、中小企業が内向きの改善に留まらず、積極的に新市場・海外市場へと踏み出す必要があるという政策的メッセージが込められているように思われる。

令和7年度補正予算での決断

2025年11月に中小企業庁が発表した令和7年度補正予算案には、「ものづくり補助金」の記載が見当たらず、その動向が注目されていた。しかし2025年12月26日、中小企業庁より「中小企業・小規模事業者関係予算等のポイント(令和7年度補正予算・令和8年度当初予算案)」が公表され、新補助金として再編・統合されることが明らかになった。

新たな事業名称は「ものづくり商業サービス省力化・革新的開発・新事業・海外展開促進事業」であり、予算規模は2,960億円(中小企業等事業再構築促進基金を活用)という大規模な枠組みとなっている。


2. 新補助金「新事業進出・ものづくり補助金」の概要

制度の定義

新補助金は次のように定義されている。

「中小企業等が行う、技術的革新性のある製品・サービスの開発や既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制の強化に係る設備投資等を支援する。」

旧ものづくり補助金の「革新的製品・サービス開発」と、旧新事業進出補助金の「新市場・高付加価値事業への進出」、そして「海外展開」が一体的に支援される制度となる。

主な申請枠と補助率(見通し)

現時点で公表されている情報をもとに整理すると、以下の枠組みが想定されている。

申請枠 概要 補助率
革新的新製品・サービス枠 技術的革新性のある製品・サービスの開発(旧ものづくり補助金に相当) 1/2、小規模・再生2/3
(最低賃金引き上げ特例等あり)
新事業進出枠 既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出(旧新事業進出補助金に相当) 1/2
(最低賃金引き上げ特例あり)
グローバル枠 海外市場開拓・輸出体制強化(両補助金の海外展開要素を統合・強化) 2/3

特にグローバル枠は拡充される見込みであり、従来の補助上限額3,000万円から従業員規模別の設定に変更されることで、多くの企業にとって有利な条件となりそうである。

旧制度との対比

旧制度と新制度を対比すると、大きな方向性の変化が見えてくる。「製品・サービス高付加価値枠」は枠の名称が変わったのみで内容は継続される。「グローバル枠」は旧ものづくり補助金と新事業進出補助金の両方の強みを取り込んだ形に進化する。「新事業進出枠」は旧新事業進出補助金の要素がそのまま移行する形となる。


3. 現行制度との違いと公募スケジュール

新事業進出補助金の第4回公募(2026年3月26日締切予定)が終了した後、順次「新事業進出・ものづくり補助金」に移行する見込みである。したがって、現行のものづくり補助金・新事業進出補助金で申請できる機会はあと1回ずつ程度と考えておくべきであろう。

現在、ものづくり補助金は23次公募が進行中であり、新事業進出補助金は第3回公募(令和8年2月17日〜3月26日)が実施中である。

なお、2026年2月時点では、「新事業進出・ものづくり補助金」の公募開始時期や公募要領の詳細は正式に公表されていない。補助率・補助上限額・要件などは変更される可能性があるため、中小企業庁の公式発表を定期的に確認することが必須である。


まとめ

ものづくり補助金と新事業進出補助金の統合は、単なる制度整理ではなく、国が中小企業に「守り」から「攻め」への転換を求める政策的意思の表れである。予算規模2,960億円という大型の枠組みのもと、革新的な製品・サービス開発から新市場進出・海外展開まで、一体的に支援される制度が誕生する。

後編では、**「経営コンサルタントが見る統合の意味」と「中小企業が今すぐ取るべき具体的アクション」**について解説する。あわせてご覧いただきたい。


本記事は2026年2月時点の公開情報をもとに作成している。制度の詳細については、中小企業庁の公式発表を必ずご確認いただきたい。

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