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令和元年補正(2020年実施)ものづくり補助金のポイント【令和2年1月23日中小機構発表資料より】

ものづくり補助金 補助金や中小企業支援制度

令和2年1月23日に、中小機構のHPにて
令和元年補正(2020年実施)ものづくり補助金の事務局の公募がはじまりました。

今回の公募はあくまで補助事業を運営する事務局の公募であって、
中小企業・小規模事業者等の公募ではないため、予めご留意ください。

その公募資料で、今回のものづくり補助金のポイントが見えてきましたので
ご紹介します。

【ほか】
ものづくり補助金の概要について、下記の記事で紹介しています。あわせてご参考ください。

令和元年度補正予算ものづくり補助金の事務局公募サイト

下記の中小機構のサイトに公募内容がアップロードされています。

 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
https://www.smrj.go.jp/org/info/solicitation/2019/favgos0000009ybj.html
中小機構は、中小企業政策の実施機関として、成長ステージや経営課題に応じた支援メニューで中小企業の成長をサポートします。

その公募要領の11〜13ページにものづくり補助金の実施事項概要が記載されています。
以下、その箇所に記載されている内容のポイントをご紹介していきます。

なお、当該資料には「記載の内容は差し当たってのものであり、今後、補助対象者の実情等を踏まえて変更となる可能性があります。」とありますのでご留意ください。

令和元年補正(2020年実施)ものづくり補助金のポイント

まず、ポイントを簡単にまとめます。

  • 申請要件が大幅変更。会社の生産性向上(付加価値額)だけでなく、給与や最低賃金の向上に関する細かい数値まで求められる。
  • 小規模事業者は、加点がある、補助率が2/3など、今までよりも優遇される。
  • 経営革新計画で加点される。経営革新計画の策定はなかなかハード。
  • 事業継続力強化計画の認定等で加点される。
  • 賃上げ加点の厳格化。目標未達の場合は補助金返還の可能性も。
  • 採択件数は毎年1万件程度。よって過去2年と同程度の競争率となる見込み。
  • 補助率は「中小企業 2分の1、小規模事業者 3分の2」となる可能性。
  • 公募開始時期は3月中旬〜下旬と予想。
  • 3ヶ月毎に公募が行われる。

申請要件

申請要件は下記のようになっています。

以下の要件のいずれも満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明している中小企業・小規模事業者等。
(ただし、申請締め切り日前10ヶ月以内に 同一事業(令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業) の採択決定及び交付決定を受けた事業者を除く。)

一 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加 (被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)

二 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を 地域別最低賃金+30円以上の水準にする

三 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%増加 (付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したもの。)

〈以上、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」に係る事務局の公募要領より抜粋〉

申請要件については今までのものづくり補助金より大幅な変更となりました。
今までは、
『3~5年計画で「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成する取組み』
が要件でした。
つまり、会社が生産性を向上させ、結果として付加価値額や経常利益などが達成できる事業であれば要件を満たすことができました。

しかし、今後は会社の生産性向上(付加価値額)だけでなく、給与支給総額、最低賃金などを増加もしくは一定水準以上にすることが求められるようになってきます。

さらに、給与等の要件についてはかなり細かい数値まで求められています。
おそらく審査の過程でも、ものづくり補助金での設備投資等により、実際に給与アップ等が実現できる可能性が高いかどうか、なども厳しくチェックされるのではと思います。

加点要件

加点要件は事務局の公募要領では下記のように記載されています。

一 成長性加点:有効な期間の経営革新計画の承認(申請中を含む)を取得した企業

二 政策加点:小規模事業者、又は、創業・第二創業後間もない企業(5年以内)

三 災害加点:昨年の激甚災害(台風15、19、20、21号)指定地域の被災事業者、又は、有効な期間の事業継続力強化計画の認定(申請中を含む)を取得した企業

四 賃上げ加点等:事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%又は3%以上増加させる計画を有し、従業員に表明している企業、並びに、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円又は+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している企業(賃金の引上げ幅に応じて段階的に加点)、被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合

※複数の要件がある加点項目については、どれか1つを満たせばよい。したがって、最大でも添付書類は4点となる。

〈以上、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」に係る事務局の公募要領より抜粋〉

以下、それぞれについてより詳しく見てみます。

一 成長性加点

成長性加点に該当するものは、今までは経営力向上計画、先端設備等導入計画、経営革新計画等がありました。

しかし今回は、経営革新計画の承認(申請中を含む)のみになる可能性があります。
経営力向上計画や先端設備等導入計画は令和3年3月までの措置なので加点対象にならない可能性は高いと思います。

経営革新計画はほかの2つの制度と比較して、
より緻密な内容や革新性が求められたり、
県によっては審査発表会があったりとハードルが高いので
この加点を取るのも相当な労力が必要となるかもしれません。

二 政策加点

小規模事業者は加点されます。
いままでも年によっては小規模事業者は加点されていましたが、
補助金額が500万円以下の事業である小規模事業型のみの加点となる年も多かったりしていました。

しかし、今回は、小規模事業者であれば一律加点されるようなので
小規模事業者はとても優遇される見込みです。

また、創業や第二創業も優遇されます。
今までは創業等は応募要件や提出書類が曖昧なことから応募しにくかったのですが
今後は創業者の方も積極的に申し込めそうです。

三 災害加点

事業継続力強化計画の認定等で加点されます。
ものづくり補助金に申し込み予定の企業は、早めにこの計画策定にも取り組まれておいたほうが良いです。

四 賃上げ加点等

賃上げに関しても加点されてます。

具体的には、事業計画期間において①②③いずれかの要件を満たせば賃上げ加点されると記載されています。

①給与支給総額を年率平均2%又は3%以上増加させる計画を有し、従業員に表明している企業
②事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円又は+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している企業
③被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合

付け加えると、①②は賃金の引上げ幅に応じて段階的に加点とされています。
つまり①では2%以上より、3%以上のほうが高いで加点が付きます。
②では+60円以上より、+90円以上以上のほうが高いで加点が付きます。

ただ、これらは事業計画期間において、とあります。
例えば、5年の事業計画で、①の3%以上増加させるとした場合、5年後には少なくとも15%増加している必要があります。
相当の生産性向上を実現する計画策定が求められます。

また、加点要件がより詳細になっており、実効性も求められるようになります。
実効(達成)できなかった場合は補助金返還等の可能性もあります。

申請要件の実効性担保

これについては重要ですし、細かい説明が必要ですので別途、ブログでご紹介します。

補助率等

補助率等は下記のようになっています。

ほとんどの応募者が応募する事業の型である、「一般型」の重要なポイントは
補助率が
「中小企業 2分の1
小規模事業者 3分の2」
となっていることです。

昨年のものづくり補助金では原則2分の1でしたが、
中小企業でも小規模事業者でも先端設備等導入計画または経営革新計画が
認定されれば3分の2となっていました。

しかし今回は中小企業はすべて2分の1に統一されるのではないかと思われます。
その場合、規模の比較的大きい、「中小企業」に定義される企業にとっては
補助率は物足りない水準になってしまうかもしれません。

グローバル型やビジネスモデル構築型は下記の記事を参照ください。


補助予定件数

約3万件(ただし、1 件当たりの補助申請額によっては、予定件数は増減する場合がある。)

この3万件は、3年間で3万件です。
つまり1年間ではおおよそ1万件なので
近年の採択者数と同程度の採択件数と競争が見込まれます。

(参考)
平成29年度採択数 11,989件
平成30年度採択数 9,531件

公募開始時期

公募開始時期は3月中旬〜下旬と予想しています。

過去2年の1次公募の事務局公募公告日と補助金の公募開始日は下記のように1ヶ月と20日程度です。
今回の公募公告日が1月20日なので、単純に1ヶ月と20日を要するとすると3月10日頃です。
ただし、今回は大幅なスキームの変更等があり、それらの調整等が必要と思われるので3月中旬〜下旬の公募開始となるのではと予想しています。

事務局公募公告日 補助金の公募開始日
平成29年度補正 平成30年1月5日 平成30年2月28日
平成30年度補正 平成30年12月28日 平成31年2月18日
令和元年度補正(今年) 令和2年1月20日 令和2年3月中旬〜下旬?

また、『本事業については複数回で3ヶ月ごと程度に1回ずつ採択発表を予定するものとする。』とあります。
よって2020年3月に公募がはじまったとすると、今年度は
2020年3月、6月、10月、2021年1月の4回程度公募があるかもしれません。

まとめ

令和元年補正(2020年実施)ものづくり補助金も
徐々に明らかになってきました。

最新情報が更新され次第、当ブログでも引き続きご紹介していきます。

また、下記の記事では「令和元年補正(2020年実施)ものづくり補助金の書き方や応募要件のまとめ」
を紹介しているので、ご参考ください。

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