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省力化投資補助金(一般型)第1回公募採択発表:採択率68.5%が示す申請のポイントと今後の対策

中小企業省力化投資補助金

省力化投資補助金(一般型)第1回公募採択発表:採択率68.5%が示す申請のポイントと今後の対策

はじめに

2025年6月16日、中小企業庁から中小企業省力化投資補助事業(一般型)第1回公募の採択結果が発表された。注目すべきは採択率68.5%という高い数値である。実際、当社の支援企業においても5社中4社が採択されており、この高い採択率を実感している。

今後の応募を検討している企業にとって、今回の結果は重要な指標となる。本ブログでは、第1回公募の結果分析を通じて、今後の応募戦略を考察する。

第1回公募の結果概要

基本データ

  • 応募者数:1,809者
  • 採択者数:1,240者
  • 採択率:68.5%
  • 公募期間:2025年1月30日~3月31日

高い採択率が意味するもの

採択率68.5%は、類似制度のものづくり補助金(オーダーメイド型)の約3割と比較して格段に高い。これは以下を示唆している:

政府の強い支援姿勢 人手不足問題の解決に向けた政府の本気度が表れている。

制度設計の適切性 審査基準が明確で、企業のニーズと制度の目的が合致している。

申請のハードルの適正さ 過度に厳しい要件ではなく、真面目に取り組めば採択される可能性が高い。

ただし、第1回目であったので普及を図る観点から高い採択率が設定されたことも考えられ、今後は現状よりは低い採択率となる可能性もある。

省力化投資補助金(一般型)の制度特徴

対象となる投資

従来の「カタログ注文型」では対応できない、以下のようなオーダーメイド投資が対象となる:

投資分野 具体例
業務プロセス自動化 RPA導入、AI判定システム、自動検査装置
ロボット化・機械化 協働ロボット、自動搬送システム、無人化設備
DXシステム構築 IoTネットワーク、データ分析基盤、クラウドシステム

補助内容

項目 中小企業 小規模・再生事業者
補助率※ 1/2 2/3
補助上限額(通常) ~8,000万円 ~1,500万円
大幅賃上げ特例時 最大1億円 最大1億円

※補助金額1,500万円までは1/2 もしくは2/3(小規模・再生事業者)、1,500万円を超える部分は1/3。

  • 補助事業実施期間:交付決定から最大18ヶ月
  • 基本要件:労働生産性年平均成長率4%以上増加

カタログ注文型との簡易比較

比較項目 カタログ注文型 一般型
対象設備 カタログ登録製品のみ オーダーメイド設備可
補助上限額 最大1,500万円 最大1億円
申請手続き 簡易 詳細(事業計画書等)
導入期間 最大12ヶ月 最大18ヶ月
適用場面 汎用的な省力化 個別省力化の解決

今後の応募スケジュール

第2回・第3回公募の予定

  • 第2回公募:申請受付終了済み(8月中旬採択発表予定)
  • 第3回公募:6月中旬公募開始、8月上旬申請受付開始、8月下旬申請締切予定

年3~4回の公募が予定されており、継続的に申請機会が提供される。

応募予定企業が準備すべきこと

1. 事前準備の徹底

申請準備チェックリスト

準備項目 所要期間 重要度
GビズIDプライムアカウント取得 2-3週間 必須
現状分析・課題整理 1-2週間 必須
労働生産性向上計画策定 2-3週間 必須
設備選定・見積取得 2-4週間 必須
事業計画書作成 2-4週間 必須
認定支援機関との連携 随時 推奨

GビズIDプライムアカウントの取得 申請には必須であり、取得に時間を要するため早急に手続きを開始する必要がある。

2. 審査を有利にする要素

高い採択率とはいえ、確実な採択を狙うために以下の要素を考慮すべきである:

労働生産性向上計画の具体性 年平均成長率4%以上の労働生産性向上について、具体的な根拠と実現手段を明確に示す。単なる目標設定ではなく、省力化投資による人件費削減効果と付加価値向上効果を定量的に計画する。

導入設備の適切性 自社の課題解決に対する設備の有効性を明確に示し、投資効果を具体的に説明する。

加点項目の取得 事業計画自体での差別化は容易でないが、加点項目は多いほど優位になり確実に点数の積み上げが見込めるためできる限り取得する。

3. 事業計画書作成のポイント

計画書作成ガイドに準拠 事務局が提供する計画書作成ガイドに沿って、記載項目をもれなく記載し、審査項目に対応した内容を整理する。

具体的数値の提示 具体的な計算式で賃金アップ効果を示す。

実施スケジュールの明確化 採択発表から60日以内の交付申請提出、実績報告は事業完了後30日以内等、公募要領に合わせたマイルストーンを明記する。

第1回不採択企業の対策

事業計画の見直しポイント

実現可能性の再検証 労働生産性4%向上の根拠となる具体的施策を再検討する。

投資効果の明確化 省力化効果と売上増加効果を定量的に示す。

設備選定の妥当性 導入予定設備が本当に課題解決に最適かを再検証する。

専門家の活用

認定経営革新等支援機関等の専門家を活用し、審査基準に適合した事業計画の策定を行うことを強く推奨する。

採択のための戦略

1. 早期行動の重要性

第3回公募に向けて、今から準備を開始することが重要である。特に以下の点を重視すべきである:

課題の明確化 自社の人手不足問題を具体的に分析し、省力化投資による解決策を明確にする。

投資計画の精緻化 設備選定から導入スケジュール、効果測定方法まで詳細に計画する。

2. 制度の趣旨に沿った計画策定

省力化投資補助金は「既存事業などの省力化」が目的である。ほかの新事業進出補助金やものづくり補助金などの新製品や新規事業開発ではなく、現在の業務プロセス改善に焦点を当てた計画とすることが重要である。

3. 他制度との使い分け

カタログに掲載されている設備であれば「カタログ注文型」の方が申請手続きが簡単である。一般型は、真にオーダーメイド性が必要な場合に選択すべきである。

まとめ

省力化投資補助金(一般型)第1回公募の高い採択率は、真摯に取り組む企業にとって大きなチャンスであることを示している。ただし、高い採択率に安心せず、制度の趣旨を理解し、適切な準備を行うことが成功の鍵となる。

今後の応募を検討している企業は、第3回公募に向けて今すぐ準備を開始することを強く推奨する。特に、労働生産性向上の具体的計画策定と、賃上げ率の高さとその根拠付けが重要なポイントとなる。

 

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