【第1回】新事業進出・ものづくり補助金とは — 制度の全体像と第1回公募スケジュール

2026年6月29日、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の第1回公募が始まった。従来のものづくり補助金と新事業進出補助金の流れを汲む、中小企業向けとしては最大級の設備投資支援制度である。
本シリーズでは、事務局が公開した応募申請ガイド(第1回・1.0版/全101ページ)に沿って、制度を回を分けて解説する。初回は全体像を押さえたい。
賃上げが制度の「到達点」である
この補助金が支援するのは、①技術的革新性のある製品・サービスの開発、②既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、③海外市場開拓に向けた国内輸出体制の強化——の3類型である。そしてこれらを通じて企業規模の拡大と付加価値向上を実現し、最終的に賃上げにつなげることが制度の目的とされている。
賃上げは努力目標ではない。補助を受ける事業者には給与支給総額や事業場内最低賃金に関する数値目標が課され、未達であれば補助金の返還が求められる。単なる設備投資の補助金と捉えると、採択後に苦しむことになる。
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金事務局「応募申請ガイド(第1回)1.0版」(2026年8月24日)p.3 より引用 https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/assets/documents/shinmono_submission_guide_01.pdf
3つの事業枠と規模感
申請者は、①革新的新製品・サービス枠、②新事業進出枠、③グローバル枠のいずれか1つを選んで申請する。
補助上限額は従業員数によって変わり、革新枠が750万〜2,500万円、新事業進出枠とグローバル枠が2,500万〜7,000万円である(いずれも賃上げ特例の適用でさらに引き上げ)。補助率は枠と事業者区分によって1/2または2/3となる。
金額の差からも分かるとおり、枠の選択は申請戦略の出発点である。ただし、どの枠にも「該当しない例」が細かく定められており、ここを読み違えると審査以前の問題になる。枠ごとの見極めは次回以降で扱う。
第1回公募のスケジュール
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年6月29日(月) |
| 応募申請受付 | 2026年9月30日(水)〜 |
| 応募申請締切 | 2026年10月30日(金)18:00 |
| 採択発表 | 2027年1月(予定) |
申請は電子申請のみで、書面提出は受け付けられない。
第1回公募のスケジュール
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金事務局「応募申請ガイド(第1回)1.0版」(2026年8月24日)p.55 より引用 https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/assets/documents/shinmono_submission_guide_01.pdf
いま着手すべきこと
受付開始は9月30日だが、「まだ余裕がある」と構えるのは危うい。受付開始までの1か月で準備を終えておくのが現実的である。特に以下の2つは今すぐ動きたい。
GビズIDプライムアカウントの取得。 電子申請システムの利用に必須である。
一般事業主行動計画の策定・公表。 基本要件の一つであり、「両立支援のひろば」への公表が求められる。ガイドは、システムへの反映に1〜2週間を要し、公表申請の審査過程で不備が判明する場合もあるため、2週間以上の余裕をもって申請するよう促している。日程的に最も詰まりやすい項目である。
次回予告|第2回は「3つの事業枠の見極め」を扱う。特に革新的新製品・サービス枠について、何が「革新性」と認められ、何が認められないのかを、ガイドの具体例から読み解く。
出典・注記
- 本記事の図表および記載内容は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金事務局「応募申請ガイド(第1回)1.0版」(2026年8月24日公表)に基づく。
- ガイド原本:応募申請ガイド(第1回)PDF
- 補助金公式サイト:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
- 掲載画像は上記ガイドから引用したものであり、著作権は同事務局に帰属する。図中の一部を拡大・トリミングして掲載している場合がある。
- 制度内容は改訂される場合がある。申請にあたっては、必ず最新版の公募要領および公式サイトの記載を確認されたい。
- 本記事は制度の概要を解説するものであり、採択を保証するものではない。




