令和2年実施予定の「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」
7年連続で行われている、一般的に知られている補正予算の「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」(補助金上限額は約1000万円)とは別に、
昨年から本予算でも違う趣旨の事業に補助金が出る「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」(補助金上限額は約3000万円/者)という補助金がある。
これを、令和2年の概算要求でも経済産業省が要求している。
つまりは、ほぼ来年2020年、令和2年でも実施される見込みである。
その補助金上限額が、約3000万円/者と、補助金額の大きい「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」を紹介する。
令和2年実施予定「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」の概要と、通常(補正予算)のものづくり補助金との違い
まず、経済産業省の概算要求の概要資料から見てみる。
【経済産業省資料:令和2年実施予定「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」】
これによると、事業目的や趣旨は以下のようになっている。
(事業目的・概要)
● 「コネクテッド・インダストリーズ」の取組を日本経済の足腰を支える中小企業・小規模事業者にも広く普及させるべく、事業者間でデータを共有・活用することで生産性を高める高度なプロジェクトを支援します。●また、地域経済を牽引する事業がもたらす地域経済への波及効果をより高めるため、地域経済牽引事業計画の承認を受け、連携して事業を行う中小企業・小規模事業者等による設備投資等を支援します。
●加えて、幹事企業や地方公共団体が主導し、中小企業・小規模事業者等を束ねて面的に生産性向上を推進する取組を支援します。
また、予算事業名が「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」となっており、『高度連携促進』という文言があるように、
この本予算のものづくり補助金は、事業者間や地方公共団体等と「高度連携」して、生産性を高める高度な事業を政府として促進していく、というものである。
こういった意味で、企業単体の生産性向上を図る、通常(補正予算)のものづくり補助金とは異なる。
令和2年実施予定「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」の企業間連携型について
この当初予算のものづくり補助金には下記の3つの型がある。
1.企業間連携型
2.サプライチェーン効率化型
3.地方公共団体連携型
今回はその3つの中で最も1者(社)あたりの補助金額が大きい「企業間連携型」についてみてみる。
「企業間連携型」の対象事業
対象事業や概要については下記のように述べられている。
複数の中⼩企業・小規模事業者等が、連携して行う以下のプロジェクトを最大2年間支援します。
①事業者間でデータ・情報を共有し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクト
②地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認を受けて連携して新しい事業を行い、地域経済への波及効果をもたらすプロジェクト
この文面だけだとけっこうわかりにくい、、。
全国中小企業団体中央会のHPに、今年度(平成31年度当初予算)のではあるが、取組例が例示されているので参考にしてほしい。
【補助金「企業間データ活用型」「地域経済牽引型」で想定される取組例】
おおよそ
「企業間データ活用型」 ≒ 上記①
「地域経済牽引型」 ≒ 上記②
と考えて良いだろう。
また、31年度の採択企業一覧の「事業計画名」を見ると、どんな事業が採択されたかが理解できるため、ヒントになるので参照いただきたい。
補助金の額
補助上限額は、3000万円/者、補助率1/2※と、非常に大きい。
それに加え、さらに200万円×連携体参加数を上限額に連携体内で配分可能となっている。
(※補助率は先端設備等導入計画の認定などで2/3へUP)
図示すると下記の通り。200万円の配分は自由なので、
下記の場合A社の補助金3400万円、B社3000万円ということもできる。
また、事業期間も2年程度あり、通常のものづくり補助金の事業期間が半年程度しかないのと比較すると多少余裕のある事業ができる。
3000万円という大型補助金はそう多くはないので、
他社などとの大規模な連携事業を考えられている企業はいまのうちから事業構想を練っておくと良い。
予想される公募時期
今年度(平成31年度)と概ね同じ時期と予想される。
ちなみに今年度は下記の日程で行われた。
1次公募で予算の多くは消化されると思われるので、遅くとも5月上旬頃までには事業構想をまとめておきたい。
1次公募:
2019年4月23日(火)~2019年6月24日(月)【当日消印有効】
2次公募:
[書面申請]2019年8月26日(月)~9月27日(金)〔当日消印有効〕
[電子申請]2019年9月中旬~9月30日(月)15時
予想される採択率
全体の予算が69.9億円と、今年度の50.0億円から20億円程度増加する。
類型が3種類に増えたことと、多少認知が広がり、応募者数が増えることも加味すると概ね今年と同程度の採択率となると、当社では予想している。
ちなみに今年の1次公募の採択率は69.1%(件数ベース:応募139件採択96件)と非常に高かった。つまり、採択されやすかった。
まとめ
1者(社)あたりの補助上限額3000万円以上の補助金であり、採択率も低くはなく、連携体での新しい事業にはチャンスな制度である。
他社などとの大規模な連携事業を考えられている企業はいまのうちから事業構想を練っておくと良い。
当社も相談には対応しているので、お気軽に問い合わせていただきたい。