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【新ものづくり補助金解説②】3つの事業枠と「革新性」の判定 — 設備を入れるだけでは通らない

前回は制度の全体像を押さえた。今回からは事業枠の中身に入る。本補助金は3つの枠に分かれており、申請者はいずれか1つを選んで申請する。まずは全体の見取り図と、①革新的新製品・サービス枠の判定基準を扱う。

3つの枠は「何を支援するか」が違う

①革新的新製品・サービス枠は革新的な新製品・新サービス開発の取組を、②新事業進出枠は既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を、③グローバル枠は海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化の取組を、それぞれ支援する。

補助上限額は革新枠が100万〜2,500万円、新事業進出枠とグローバル枠が750万〜7,000万円である。桁が違うため「大きい枠で出したい」という動機が働きやすいが、枠の定義に合致しない申請は審査以前に対象外となる。自社の取組の性質から、入れる枠は自ずと決まると考えたほうがよい。

補助対象となる3つの事業枠

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金事務局「応募申請ガイド(第1回)1.0版」(2026年8月24日)p.6 より引用 https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/assets/documents/shinmono_submission_guide_01.pdf

革新枠の定義は一文である

革新枠の定義は明快である。顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発すること。この一文に照らして、自社の計画が説明できるかどうかがすべてである。

ガイドはこれを裏側から示すため、「技術的革新性に該当しない例」を3つ挙げている。

プロセスの改善・向上にとどまる場合。 自動車部品を製造する事業者が、既存の生産ラインに新たな加工機を導入して生産効率を高める——これは該当しない。生産性は上がるが、新製品を開発してはいないためである。

機械装置等の導入にとどまり、開発を伴わない場合。 土木建設会社が大出力の作業用機械を新たに保有し、自社で施工できる範囲を広げる——これも該当しない。できることは増えるが、それは設備の性能であって開発の成果ではない。

同業他社に既に相当程度普及している場合。 飲食店が、同業の店舗で広く導入されているモバイルオーダーシステムを導入して新サービスとして展開する——これも該当しない。地域性の高い業種であれば、同一地域の同業他社が判断の基準となる。

革新枠の定義と技術的革新性の非該当例

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金事務局「応募申請ガイド(第1回)1.0版」(2026年8月24日)p.7 より引用 https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/assets/documents/shinmono_submission_guide_01.pdf

落とし穴は「主語」にある

3つの非該当例に共通するのは、主語が設備になっている点である。「この機械を導入すると、こうできるようになる」という書き方は、いずれの例にも当てはまってしまう。

革新枠で問われるのは、主語を自社の技術力に置き、その結果として顧客に届く新しい価値を語れるかどうかである。設備は開発を実現する手段として登場するにすぎない。事業計画書を書き始める前に、「この計画から補助対象設備を消しても、開発しようとしている製品・サービスの中身を説明できるか」を自問してみるとよい。説明できないなら、それは設備投資であって開発ではない。

なお、3つ目の「既に普及している」の判定は、業界の実情を踏まえた相対評価となる。自社にとっては新しくとも、同業では当たり前という技術は少なくない。ここは客観的な裏付けをもって説明する必要がある。


次回予告|第3回は「新事業進出枠」を扱う。この枠では、製品等の新規性と市場の新規性という2つの条件を両方満たす必要がある。アイスクリーム店を例にした分かりやすい非該当例が並ぶ回である。

出典・注記

  • 本記事の図表および記載内容は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金事務局「応募申請ガイド(第1回)1.0版」(2026年8月24日公表)に基づく。
  • ガイド原本:応募申請ガイド(第1回)PDF
  • 補助金公式サイト:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
  • 掲載画像は上記ガイドから引用したものであり、著作権は同事務局に帰属する。図中の一部を拡大・トリミングして掲載している場合がある。
  • 制度内容は改訂される場合がある。申請にあたっては、必ず最新版の公募要領および公式サイトの記載を確認されたい。
  • 本記事は制度の概要を解説するものであり、採択を保証するものではない。
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